つまみパーツfile.02 優美なサイドミラー
酒のつまみ、肴、アテ…になるほど味わい深い、古いクルマの部品を紹介します。2回目はサイドミラーです。フィアット500につけていたのを取り外して、少し磨きました。
フィアット 500用ではないものを、無理矢理つけてました。10年以上前の写真ですが、ワイパーの根元などの錆付きが始まってますね。
フィアット500用でなくても、何としてもこのミラーに交換したかった理由があります。雰囲気重視もありますが、実用的な理由もあるのです。
このミラーに替える以前は、いわゆるドアミラーをクリップオンで取り付けておりました。しかし、わがDタイプのフィアット500は、ドアが前開き(後ろヒンジのいわゆる自殺ドア)なのです。ドアの建付けも悪く、勢いよく閉めないと、きちんと閉まってくれなかったですね。ドアの端っこに取り付けていますから、ドアの開閉で一番遠心力の影響を受けやすいのです。特に閉める際、勢いよく閉めると、せっかくセットしておいたミラーの角度が、その反動で頻繁に動いてしまっていました。
このミラーを、サンバイザーのステーに取り付けることで、ドアの開閉の影響を受けなくなりました。フロントウインドウから見ることになり、視線の移動も少なくなって、視認性向上にも貢献。
ではこのミラー、フィアット 500用でないとすると、何用かわかりますか?あるクルマのための専用設計です。さて何でしょう?
ミラーのステーにこんな曲線のデザインを採用できるのは、あの国の、あのメーカーしかありません。
正解はこちら。フランスはシトロエンの2CVです。実車に装着した写真が手に入りませんでした。すみません。
シトロエン2CVのサイドウインドウは、下半分を上に跳ね上げて折りたたむように開けます。そのヒンジ部分のネジに共締めすることで、取り付けるミラーなのです。
かなり前にネットオークションで落札。確か「車→パーツ→アンティーク」で検索したらヒットしたと記憶しています。落札履歴が探れず詳細不明なので、メーカー純正なのか、当時ものなのか、リプロダクション品なのかも、分からなくなってしまいました。
同じ取り付け箇所でも、形状が違う、いろんなバリエーションがあったようです。ミラー本体もステーも。私のもその一つ。
フランス車マニアの友人から教えてもらった動画です。同じようにサイドミラーをサイドウインドウのヒンジに取り付けているクルマも登場します。
ただ私が使っていたこのミラーは、ステーの曲線やミラーの小ささなど、デザインのバランスが私好みでよろしい。こうやって自画自賛しちゃうのもつまみパーツ(※)の楽しさなのかもしれません。
※つまみパーツ とは?
古いクルマの部品の中には、何というか、独特の雰囲気をもつものがありますよね。趣きというか、佇まいというか…。
いつまでも眺めていられる。
お酒飲みながらでも…。
可動部分がある部品なら、いじった感触もまた味わい深い。その味わいで、お酒も進むってもんです。
そんな味わいのある古いクルマの部品のことを、「つまみパーツ」と呼ぶことにしているんです。
ちょっと磨いてはクイッ。
説明書読んではクイッ。
いろんな角度から眺めてクイッ。
メーカーの刻印見つけてクイッ。
分解してはクイッ。
また組み立ててはクイッ。
愛車に取り付けた姿を妄想してはクイッ。
これはたまりませんね。確かに酒の肴になる部品です。そして私はかなりの重症です。
シトロエンの画像はこちらの本から拝借しました。
講談社刊 永久保存版 世界の名車
クウェンティン・ウイルソン/デイヴィッド・セルビー著
いのうえ・こーいち監修・訳
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